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なぜ私たちはインドで縫わないのか。

なぜ私たちはインドで縫わないのか。

今回のブロックプリントのお洋服についてお話しすると、
よく聞かれる質問があります。

「生地もインドなら、そのままインドで縫った方が安く作れるのでは?」

たしかにその通りです。

私たちは20年以上インドでものづくりを続けています。
アクセサリーや刺繍、雑貨など、たくさんの職人さんや工場と仕事をしてきました。
もちろん縫製工場とのつながりもあります。

価格だけを考えるなら、インドで縫製する選択肢もありました。実際に、当店で取り扱っているブロックプリントのバッグやポーチはインドで縫製しています。

でも今回は、あえて日本で縫うことを選びました。

私たちが作りたかったのは、ただのワンピースではありません

今回作りたかったのは、特別な日に着るワンピースではありません。
気づけば毎日手に取ってしまうようなワンピースです。

仕事をして、そのままジムへ行く日。
休日にカフェへ行く日。
旅行先のホテルで過ごす朝。

そんな日常の中で、気負わず着られる服。

以前ブログにも書きましたが、
私自身、銭湯帰りにブロックプリントの服を着て

「あれ?さらっとしてる」

と驚いた経験があります。

汗をかいても肌に張りつかず、
風を通してくれるインド綿。

その心地よさをもっと多くの方に届けたいと思いました。

なぜ日本で縫製することを選んだのか

今回のワンピースは、日本国内で縫製しています。

もしインドで縫製していたら、
サンプルを送る時間。
修正内容を伝える時間。
再度作り直す時間。

どうしても距離が生まれ、完成までに時間がかかります。

もちろん、インドにも素晴らしい縫製職人さんはたくさんいます。
私たちも20年以上インドでものづくりを続けてきました。

ただ、今回のワンピースでは、日本人ならではの繊細さや丁寧さを大切にしたいと思いました。

気になったことがあればすぐに相談できる。
「もう少しこうしたい」を一緒に考えていただける。
そんな距離感で進められたことは、とても心強かったです。

インドのものづくりには、色や柄、手仕事ならではの魅力があります。

一方で、日本のものづくりには、小さな違和感を見逃さず、一つひとつ丁寧に積み重ねていく良さがあります。

そして正直に言うと、インドでものづくりをしていると時々思いがけないサプライズもあります(笑)

それも含めてインドの魅力なのですが、今回はより細かなニュアンスまで共有しながら形にしていきたいと考えました。

今回のワンピースは、インドの生地と日本の縫製。
その両方の魅力を活かしながら作っています。

私たちのワンピースを縫製してくださっている方

今回のブロックプリントワンピースは、芦屋にアトリエを構え活動する縫製職人・ナオさん(仮名)に一着ずつ縫製していただいています。

先日、芦屋市にある私たちの直営店MAYGLOBE LABにお越しいただき、お話を伺う機会がありました。
縫製歴は20年以上。

元々はアパレル会社で生産管理を担当し、多くの縫製工場に足を運んできたそうです。その中で感じた課題や、「こんな環境があったらいいのに」という想いから独立。現在はご自身のアトリエで服づくりをされています。

そう聞くとベテランそのものですが、ご本人は笑いながら、

「まだまだひよっこですよ」

と話されます。

でもお話を聞いていると、その言葉とは裏腹に、ものづくりへの深い愛情が伝わってきました。

服づくりが好きすぎる人

「もっとアトリエにこもっていたいんです」
「服作りが楽しいんですよ」

お話を伺っていると、そんな言葉が次々と出てきました。

服づくりを仕事として続けている方はたくさんいらっしゃいますが、その言葉からは「仕事だからやっている」というより、本当に好きだから続けている、そんな空気を感じました。

特に印象的だったのは、縫製のお話をされている時の表情です。
生地のこと。ミシンのこと。服のシルエットのこと。

お話しされるたびに、とても柔らかな笑顔になるのです。
その笑顔を見ていると、こちらまで自然と笑顔になってしまうほどでした。

今回のワンピースも、一着ずつ丁寧に縫製していただいていますが、ただ技術が高いだけではなく、こうした前向きな気持ちで服づくりと向き合ってくださっていることが、とても嬉しく感じました。

服は人の手を通して作られます。だからこそ、作り手の気持ちや空気感は、どこか服にも表れるような気がしています。

最後に、「80歳まで現役でいたいですね」と笑顔でお話ししてくださいました。服づくりが本当に好きな方なんだな、と改めて感じた瞬間でした。

実は、服にも専門分野があります

お話の中で驚いたのが、縫製工場の専門性についてでした。

今回のワンピースに使っているような伸縮性のない生地を「布帛(ふはく)」。
Tシャツなどに使われる伸縮性のある生地を「カットソー」と呼びます。

私は正直、どちらも「服」だから同じようなものだと思っていました。
でも実際は全く違うそうです。

使うミシンも、
縫い方も、
型紙も、
工程も違う。

そのため縫製工場の世界では、
カットソーが得意な工場だからといって、布帛の服づくりも得意とは限らないのだそうです。

ナオさんは、布帛もカットソーも対応できるよう、用途に合わせた工業用ミシンを揃えています。

「一着」を作れる人

さらに印象的だったのが、この言葉でした。

「一着全部を作れる人って、実はそんなに多くないんですよ」

大きな工場では、
袖担当、
襟担当、
裾担当、
というように工程ごとに分かれていることがあります。

そのため長年縫製に携わっていても、一着を最初から最後まで仕上げる機会は意外と少ないそうです。

ナオさんは、
裁断し、
縫製し、
仕上げる。

その全工程を一人で行います。

だからこそ、
「もう少し袖をふんわり見せたい」
「この柄はこっちの向きの方がきれい」

そんな細かな調整にも柔軟に対応できるのだそうです。

「風が通る服ですね」

今回のワンピースづくりのお話を伺う中で、印象に残ったのがナオさんのこんな一言でした。

「この生地、裁断台からはみ出るからね」

それくらいたっぷり生地を使っているということです。
身体のラインを拾いすぎないように。
風がふわっと通るように。

このワンピースには、生地を贅沢に使っています。

そのため身体と生地の間に自然と空間が生まれます。

すると、
「風が入るんですよ」
「だから心地いい」

とナオさん。

体型を拾いにくく、どんな方が着ても自然に様になる。
長年、服を作り続けてきたナオさんならではの視点だなと思いました。

ブロックプリントならではの魅力

ブロックプリントを縫製するにあたって、ナオさんから印象的なお話を聞きました。

手作業で染められるブロックプリントには、柄の揺らぎやわずかなズレ、色の個体差があります。工業製品のように、すべてが均一ではありません。

また、柄の出方にも個体差があるため、一般的な裁断とは異なる難しさがあるそうです。そのため今回のワンピースは、裁断屋さんには依頼せず、ご自身で裁断から行っていただいています。

「このズレをどう見せるか」

「この柄をどう活かすか」

そんなことを考えながら、一着ずつ縫製していただいています。

ブロックプリントは、工業製品のようにすべてが均一ではありません。

だからこそ、一着ごとに表情が違う。

その揺らぎも含めて楽しめるのが、ブロックプリントの魅力なのだと思います。

最後に

「生地もインドなら、そのままインドで縫った方が安いのでは?」
そう言われれば、その通りかもしれません。

でも私たちは、生地を選び、修正を重ね、一着ずつ丁寧に仕上げることを選びました。

今回お話を伺って改めて感じたのは、服はたくさんの人の手を通って出来上がるということです。

インドで生地を作る人。
日本で形にする人。
そして、それを届ける私たち。

縫製のお話をされる時のナオさんの楽しそうな表情がとても印象的で、こんな風に前向きな気持ちで作られた服をお届けできることが嬉しくなりました。

服は毎日身につけるものだからこそ、作り手の気持ちや空気感も、どこか宿るような気がしています。

このワンピースも、皆さまの日常に長く寄り添う一着になれたら嬉しいです。

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