最近、服にワクワクしなくなっていました。
昔は新しい服を買うだけで嬉しかったのに、
今は「動きやすい」「洗いやすい」「合わせやすい」が優先。
気づけばクローゼットには似たような服ばかり。
朝、クローゼットを眺めながら
「今日もこれでいいか」と服を選ぶ。
失敗はしない。
でも、ときめきもしない。
仕事をして、
そのままジムへ行って、
帰りにスーパーへ寄る。
そんな日が増えるにつれ、
服選びもどんどん現実的になっていきました。
夏は汗をかけば肌に張りつく。
洗濯は楽だけど、どこか息苦しい。
だからといって、おしゃれを頑張りたいわけでもない。
どちらかというと私は、
毎日の服はもっとゆるやかであってほしい。
気負わず着られて、
動きやすくて、
でも少しだけ気分が上がる。
そんな服があったらいいのに。
そう思っていた頃、
私は改めてインド綿の心地よさに気づきました。
インド綿の心地よさに気づいた日
そんな生活の中で、インド綿の心地よさに気づいたのは、何気なく着ていた1枚のブロックプリントの服でした。
私は銭湯が大好きです。
でも、お風呂上がりにまた汗をかきながら着てきた服を着直す瞬間が苦手でした。
ある日、銭湯あがりにブロックプリントの服を着た時、
「あれ?さらっとしてる?」
と思ったんです。
着てきた時の汗はすでに乾いていて、お風呂上がりの肌にも服が張りつかない。
むしろ生地がお風呂上がりの肌の水分を含み、肌になじむように柔らかくなっていてまるで温まった身体に寄り添ってくれているみたいでした。
「ええ湯やったな」
と、服が話しかけてくるような感覚。
それから私は、インドで買ったブロックプリントのお洋服を、いろんな場所へ着ていくようになりました。
ジム、ヨガ、ピラティス、よもぎ蒸し etc...。
ブロックプリントのパンツを履いて、ホテルの大浴場のあと、そのまま眠る日もあるし、仕事帰りにそのままジムへ行くこともある。
「着替えなくても快適」
という感覚が、こんなにも日常を軽くするんだと知りました。
なぜブロックプリントなのか
そして、インドの生地といえばブロックプリント。
木版を使い、職人がひとつひとつ手作業で染めていくインドの伝統技法です。
私たちはインドでものづくりを始めて、気づけば20年以上。
アクセサリーを中心に、さまざまなものづくりを現地の職人たちと続けてきました。
その中でずっと惹かれ続けてきたのが、このブロックプリントの空気感です。
完璧に整いすぎていない柄。
少しのズレや揺らぎ。
それが不思議と、人の手の温度を感じさせてくれる。
インドの街を歩いていると、現地の人たちの色使いに驚かされます。
強いカラーを自由に組み合わせながら、みんな本当に楽しそうに色を纏っている。
(地面に転がっているものを視界に入れなければ、笑)歩いているだけで、お花畑の中にいるような感覚になることがあります。
そんな景色を見ていると、「色を着る楽しさ」を思い出させてくれるんです。
ブロックプリントには、着るだけで少し気分を上げてくれる力があると思っています。
日本の夏とインド綿
インドでは、日中の最高気温が40℃を超える日も珍しくありません。
そんな暑さの中で育まれてきたのが、風を通し、汗を逃がすインド綿の文化です。
そんな土地で長く愛されてきたインド綿は、湿度の高い日本の夏にも不思議なくらい心地いい。
風をふわっと通し、汗を吸い、肌にまとわりつかない。
「暑い日のために育った布なんだな」
と、着るたびに感じます。
日本の夏を、少しだけ快適にしてくれる素材だと思っています。
実際に着てみると、その軽さにも驚きます。
空気を含むような柔らかさで、着ていると身体までふわっと軽くなる。
紙風船みたいに、このまま浮いていけそうだと思う瞬間さえある。
そしてインド綿は、新品の時よりも、着ていくうちにどんどん馴染んでいきます。
何度も洗ったあとの、少しくたっとした柔らかさ。
あの肌馴染みの良さは、着続けた人だけが知っている心地よさだと思うのです。
色を育てるという感覚
植物由来の自然にやさしい染料は、洗うたびに少しずつ色合いが変化していきます。
日本では色落ちにとても敏感です。
私自身も、この時、インドへは「どうすれば色落ちしにくい生地を作れるか」を職人たちと話し合うために行っていました。
色落ちは防ぐべきもの。
変化しないことが良い品質。
ずっとそう思っていたんです。
そんな時、職人の彼が私にこう言ったんです。
「Grow the color.」
彼は、
「色を失うんじゃない。育てるんだ。」
と、話してくれたんです。
その瞬間、自分の中の【常識】がひっくり返るような感覚がありました。
新品のまま完成された美しさを保つのではなく、
着て、洗って、陽に当たって、少しずつ暮らしになじんでいく。
その変化ごと、着るたびに愛着が深まっていく感覚。
新しい服を次々買い替える楽しさももちろんある。
でも、一枚の服を育てながら長く着ることにも、また別の豊かさがあると思うんです。
最後に
春は、柄がいちばん映える季節。
薄手のカーディガンを羽織って、公園で陽を浴びたり。
蒸し暑い、夏本番は、ワンピースをさらっと着て、お気に入りのカフェまで歩いたり。
秋は、落ち着いたカラーのジャケットを重ねたり。
そんなふうに、日常の中に自然と馴染む服を作りたいと思っています。
それぞれの柄には、私がインドで見た景色や空気を名前としてつけました。
インドへ行ったことがない方にも、
なんとなく旅をしているような気持ちを感じてもらえたら嬉しいです。
着替えなくても快適で、
着るたびに少し愛着が増していく。
そんな服が、
忙しい毎日を少しだけ心地よくしてくれると信じています。
それが、私たちMAYGLOBEの服づくりです。